· 

長期固定の安心感で【フラット35】申請が1.4倍に

金利上昇、中東不安でさらなる住宅取得環境悪化の懸念住宅ローン金利が上昇局面にあるなか、長期固定金利の【フラット35】の実績が急速に伸びている。

 

(独)住宅金融支援機構によると、【フラット35】の2025年度(20254月~20263月)の申請戸数は57380戸、前年度比41.9%増と約1.4倍に増加した。実績戸数は36715( 31.5%増)、実績金額も12184億円(同38.0%増)の大幅増加である。

 

これまで住宅ローンの選択は変動金利型が78割と圧倒的多数を占めてきた。ただ、金利上昇を背景に、そのトレンドに変化が現れている。

( ) 住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(20261月調査)によると、変動金利型の割合は202210月調査の69.9%から一貫して上昇を続け、20254月調査では79.0%に達していたが、20261月調査では75.0%に反転した。固定期間選択型が14.9%(20254月調査比2.7ポイント増)、全期間固定型が10.1%(同1.3ポイント増)である。

 

近年の【フラット35】の申請戸数の推移をみても、2019年をピークに大幅な減少を続けてきたものの、2025年度は反転上昇となった(図)。直近の金融機関の状況をみると、2512月の日銀の政策金利の引き上げを受けて、今年3月に三菱UFJ 銀行と三井住友銀行が、4月にみずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行が変動型住宅ローンの基準金利を引き上げた。5月には、SBI 新生銀行、イオン銀行、ソニー銀行も引き上げを行っている。

 

一方、固定型住宅ローンの金利は、その指標となる10年物国債利回り( 長期金利)が日銀の金融政策に加え、不安定な中東情勢などを背景に上昇基調にあることから引き上げの動きが広がっている。

 

4月には三菱UFJ 銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行が引き上げ、続く5月には大手5行すべてが引き上げた。【フラット35】の金利も同様だ。 ( ) 住宅金融支援機構によると、取扱金融機関の5月の適用金利は、返済期間21年以上35年以下で、融資率9割以下が2.710%~5.150%、最頻金利(最も多く設定される金利)は2.710%。融資率9割超は2.820%~5.260%で最頻金利は2.820%。最頻金利を4月時点と比べると、ともに0.22%の上昇と7カ月連続の上昇となっている。

 

変動型と固定型の住宅ローン金利の上昇のなかでの【フラット35】の拡大は、長期固定の安心感によるところが大きい。先の「住宅ローン利用者の実態調査」で「住宅ローンを選んだ理由」をみると、【フラット35】以外の人は「金利の低さ」が62.0%と圧倒的に多いが、【フラット35】利用者は「金利がずっと変わらないから」が77.1%に達している。

 

ただ、いずれにしても住宅ローン金利上昇、さらには金融機関の住宅ローン審査の厳格化の動きもあり、住宅取得環境が悪化していることは間違いない。住宅ローン比較サービスのモゲチェックを展開するMFSの試算によると、金融機関が審査時に用いる審査金利を0.5%引き上げると借入可能額は年収の最大8倍から7倍程度に減額になるという(年収700万円、35年元利金等払い)。

 

 

さらにMFS取締役CMOの塩澤崇氏は「イラン情勢の影響により資材価格高騰・供給不足などから引渡しが先延ばしになれば、より高い住宅ローン金利が適用される可能性もある」と指摘する。住宅取得環境のさらなる悪化と市場の冷え込みが懸念される。