中東情勢緊迫化、原油高騰が直撃中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖や、原油価格の爆発的な高騰を受け、住宅建材においても多くのメーカーが「大幅値上げ」を相次いで発表している。特に原油・ナフサを主原料とする、ポリスチレン、ウレタン、フェノール樹脂などの発泡プラスチックボード系断熱材は、これまでにない規模の改定の動きが出てきている。
カネカは押出法ポリスチレンフォーム断熱材「カネライトフォーム」について、4月1日出荷分から現行価格に対し40%の値上げを実施。中東情勢の不安定化により、原材料費やエネルギーコスト等が大幅に上昇しており、自助努力では限界に達しており、今後の安定供給のためには価格改定を実施せざるを得ないと判断した。
デュポン・スタイロも、価格改定を発表。押出法ポリスチレンフォーム断熱材「スタイロフォーム」について5月1日出荷分から40%の値上げを実施する。原材料費やエネルギーコストの大幅な上昇に加え、物流費を含む諸経費も継続して上昇しており、価格改定を実施せざるを得ないと判断した。
高性能硬質ウレタンフォーム断熱材「キューワンボード」などを展開するアキレスは3月24日、建材商社や工務店などに対して「緊急連絡」を発行。中東情勢の緊迫化に伴い「一部製品における出荷数量・納期・取引条件等の調整」「特定の地域・用途向け製品における供給制約の発生」「原材料調達条件の変化等を背景とした価格条件見直し」が生じる可能性があると通知した。
フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」を展開するフクビ化学工業も3月25日、取引先企業に対して「緊急連絡」を行った。同社が取り扱う製品全般について、4月1日以降、供給制限・受注制限および納期調整を実施する。主原料・副資材・エネルギーコスト等の上昇分を反映した新価格の適用も実施する。
一方、グラスウール、ロックウールなどの繊維系断熱材についても影響が出始めている。マグ・イゾベールは、中東情勢緊迫化に伴い「原材料費、工場燃料費、物流費すべてが上がっている」とする。
複数の物流会社からの輸送費に関する交渉、及び複数の資材サプライヤーからの材料供給への注意喚起(供給量の制限の可能性打診)及び価格に関する交渉が入っている状況で、特に原材料の調達(梱包資材とプラスチックフィルム)に不透明感があり、コストの上昇だけではなく入手困難となる可能性があるという。「現状では自助努力によるコスト吸収は不可能。近い将来、販売するだけ赤字に」。7月1日出荷分から25% 以上の値上げを実施する。
また、匿名回答の繊維系断熱材メーカーは一部石油化学製品サプライヤーからは、納材について『先行き不透明』の回
答を得ていて、継続的に検討中とする。近年、円安の進行に伴う原材料やエネルギー価格の高騰、さらに「物流2024年問題」に伴う輸送コストの増大などの影響を受けて、建材・設備メーカーの値上げが相次いでいる。
特に輸入に依存する原材料の価格上昇は、メーカーの収益構造を根底から揺さぶっており、断続的な製品価格の改定が行われる事態となっている。そこに中東情勢の不安定化、原油価格の高騰の影響が加わり、二重、三重に製品価格上昇の圧力が強まっている。中東情勢の混乱の収束は見えず、予断を許さない状況が続いている。
